滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)

◆耳の聞こえが悪くなる中耳炎
滲出性中耳炎は耳のいたみ、耳だれ、発熱はほとんどありませんが、聞こえが悪いことで気がつく中耳炎です。鼓膜の奥の中耳に液がたまる中耳炎です。

聞こえの悪さは中ぐらいですので、子供の場合は自分から聞こえが悪いことを言い出すことはまずありません。 ですから、検診で偶然発見されることや、テレビの音を大きくしたり、聞き返しが多いとか、返事が遅いことで親や周りの人に発見されることが多い病気です。

◆急性中耳炎をしっかり治そう
急性中耳炎の症状がよくなったからと通院をやめてしばらくたって、『なんだかきこえがわるいみたい』といって耳鼻咽喉科へいくと滲出性中耳炎になっていることがよくあります。 これは親の責任であって、もちろん経済的、時間的にも母親はたいへんでしょうが、中耳炎をほっておくともっと大変なことになることを覚えていてほしいと思います。

◆滲出性中耳炎はなぜおこるのでしょう
中耳は耳管というくだを通じて鼻の奥とつながっており、耳管の働きは中耳の空気を調節したり、中耳の液を排出したりします(下の図参照)。

しかし耳管がつまると中耳内空気や液が排出できなくなり、中耳に液がたまり滲出性中耳炎となります。
したがって、耳管をふざぐ病気、たとえば蓄膿症、アレルギー性鼻炎、アデノイド、急性中耳炎などがあると滲出性中耳炎になりやすいです。

◆滲出性中耳炎をなおさずにいたら?
難聴のため言葉を覚えるのが遅れたり、授業中の先生の声が聞こえにくく成績がおちたりします。さらに手術をしないと治らない真珠腫性中耳炎にすすむこともあり、 早めに耳鼻咽喉科医の診察を受けることをおすすめします。

◆滲出性中耳炎の治療は長くかかります。 
滲出性中耳炎の治療は耳管の働きを悪くしている原因を治すことからはじめます。蓄膿症やアレルギー性鼻炎があれば鼻の吸入や抗生剤、消炎剤をだします。アデノイドが大きければ耳管を圧迫し耳管の働きが悪くなるので手術で切り取るばあいもあります。明らかに液がたまっている場合は鼓膜を切開してその液を吸引して出す場合もあります。

5-6才以上であれば鼻から強制的に空気を送る治療をします。これを耳管通気法といいます。
この治療方法を約3-6ヶ月続けて良くならない場合は『鼓膜チューブ留置術』という手術が必要です。 これは鼓膜切開した穴からシリコン製のチューブを鼓膜に入れる方法です。このチューブにより中耳の液が排出され滲出性中耳炎がなおります。 この手術は小学校以下なら入院の上全身麻酔で行います。

◆滲出性中耳炎は再発しやすい
この中耳炎は再発しやすく治りにくいのが特徴ですので、専門医とおかあさん・こどもさんとチームワークのもと根気よく治療を続けることが大切です。