花粉症について

◆花粉症とは
スギ、ヒノキ、ブタクサなどの花粉が鼻や目にはいることによりアレルギーをおこし多彩な症状がでる病気です。
アレルギーとは、ある特定の物質が体内に入り過剰な反応をおこし、身体に不利益な症状を引き起こすことです。この特定の物質をアレルゲンといいます。

◆花粉症の起こり方
花粉が長い間特定の人に接触していると、そのうち体内に抗体という特殊なタンパク質をつくりだします。この抗体と花粉(アレルゲン)が反応して結合します。
これが引き金となって肥満細胞という細胞の表面から炎症を起こすヒスタミン等の物質が出現します。このヒスタミン等が鼻や目の粘膜に作用して多彩な花粉症の症状が出てきます。

◆原因となる花粉は
スギ花粉症の患者さんは日本でもっとも多く、日本人の約20%がスギ花粉症と言われています。
また、スギ花粉症の患者の約70%のひとがヒノキの花粉症を合併しており、さらにスギ花粉症の患者さんの約60%のひとがカモガヤの花粉症も合併しています。その他、キク科のブタクサ、ヨモギなどがあります。

◆花粉が飛ぶ時期は
花粉が飛ぶ時期、すなわち花粉症の症状が出る時期はその花粉の開花時期によりことなります。スギは一般的に近畿地方では2月上旬から飛びはじめ4月頃まで飛びます。

スギ花粉は前の年の7月8月の日射量が多い時や最高気温が高い時に多く飛ぶといわれています。
ヒノキはスギより約1ヶ月おくれて3月頃より飛びはじめて、5月頃まで飛びます。最近はヒノキの患者さんが増えています。
その他カモガヤは5月から7月、ブタクサは8月から10月のあいだ飛びます。
こうした花粉の飛ぶ時期を知っておくことは早めの予防対策をするうえで重要なことです。

◆花粉症の症状は
鼻の症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。
目の症状も同時におこることも多く、目のかゆみ、目の充血、涙や目やにがでたりします。また耳やのどのかゆみも出ることがあります。
ひどい場合は微熱がでたり、夜間鼻がづまり寝られずに日中に仕事に支障がでたりもします。症状の程度はだいたい花粉の飛ぶ量に比例します。

最近は新聞やテレビでスギ花粉情報をながしていますので飛ぶ量が多い時は外出を控えましょう。

◆花粉症の治療は
花粉との接触をなくすることが大切です。花粉が飛ぶ晴れた風の強い日は外出をひかえ、帰宅した時髪や服についた花粉を落としましょう。
治療としては予防的内服があります。これは花粉が飛びはじめる約2週間前より予防的にアレルギーをおさえる薬をのむ方法です。

また最近スギ花粉が飛ぶ前に予防的に鼻のレーザー手術を行う施設も増えてきています。
1月~2月頃外来にて行います。症状が出てからでは効果がありません。

花粉症を根本的になおすという意味では免疫療法があります。
花粉のエキスを徐々に皮下に注射することによりアレルギーをおさえてやろうとする治療法です。薬より効果があり今のところ唯一アレルギーをなおしてしまう治療法です。
欠点はお金と時間がかかることです。

はじめの数カ月は毎週1-2回通院が必要です。
最終的には2-3ヶ月に一度の注射で維持します。花粉症は一生続く病気ですので若い方は免疫療法を受けるのもよいと思います。