外耳炎について

泳いだ後や洗髪時など、 耳に水が入ったからといって、 神経質に綿棒で耳の中 をグリグリ擦っていませんか? 耳の触り過ぎによって外耳炎になる患者さんが あとを絶ちません。 

耳の穴は 「外耳道」 といい、 直径1センチ、長さ 2.5~3.5センチ程のやや曲が ったトンネルで、 突き当りの一番奥に鼓膜があります。
外耳道で耳あかが外か らのホコリと混じって作られます。 外耳道の奥は、 皮膚が骨の上に直接はりつ いた形状のため、綿棒や耳かきで擦り過ぎると容易に傷付いてしまい、炎症を 起こして外耳炎となります。 

プールや海、お風呂に入った後、 耳に水が入ってもトントンと頭を振って水が 流れ出たら、あとは耳を触り過ぎないことが大切です。
皮膚の表面のバリアー 機能を維持するためにも、 外耳道も軽く耳垢に覆われているぐらいがちょうど 良いのです。 皮膚表面のバリアーがはがれてしまうと、 直接空気に触れた部分 が刺激され、かゆみが生じます。 かゆいからといって更にいじっていると、 炎 症が悪化して痛くなったり、 外耳道が腫れて耳の穴がふさがったりします。 耳 がつまった感じ (耳閉感) や、 ひどい時は聴こえにくくなります。 

慢性的な刺激により外耳炎が進行し、耳鳴り・めまいを訴える患者さんも多く見かけます。 外耳道の皮膚は鼓膜の中心部から外へ外へと流れているので、耳の奥に耳あかはたまりません。 耳そうじは、耳の穴から1センチぐらいの部分までそっと綿 棒を入れ、らせんを描くように外に向かって軽く3回かき出すように拭き取っ てください。 それも、 3~4週間に1度で十分です。過度な耳そうじは厳禁。
(平成27年7月28日 毎日新聞朝刊より)